微生物は、外からたくさん与えればよいものではありません。
もともと土の中にいる微生物たちが住みやすい環境をつくることで、その働きや多様性を育てていきます。
森や草原の土を見てみると、地面には落ち葉や枯れ草が積もり、土はいつも覆われています。
そして様々な植物が育ち、多くの生き物が暮らしています。自然界には、微生物が働きやすい環境が整っているのです。
畑でも同じような環境を意識することで、微生物が活動しやすくなり、土の中の循環が少しずつ整っていきます。
草マルチをする
刈った雑草や枯れ草を土の表面に敷く方法です。草は微生物のエサとなり、分解されることで土へ戻っていきます。
また、土の乾燥を防ぎ、夏の高温や冬の寒さから土を守る働きもあります。
土を裸にしないことは、微生物を育てる大切なポイントです。
草マルチに向いていない草
刈った草の多くは草マルチとして利用できますが、種ができた草や、地下茎・ほふく茎で増えやすい草は、そのまま畑へ戻すと再び増えることがあります。
スギナ、ドクダミ、ハマスゲ、ヨモギなど地下部から再生しやすい草や、種をつけたイネ科などの草は、無理に草マルチへ使わず畑の外へ出すと安心です。
落ち葉や稲わらを活用する
落ち葉や稲わらも優れた有機物です。
ゆっくりと分解されるため、長期間にわたって微生物のエサになります。
落ち葉や稲わらのような植物質は、糸状菌(しじょうきん)などさまざまな微生物によってゆっくり分解され、土の有機物循環を支えます。
堆肥や腐葉土を活用する
完熟した堆肥や腐葉土には、多くの微生物や有機物が含まれています。
土に少量ずつ加えることで、微生物の活動を助けることができます。ただし、多ければ良いわけではありません。
微生物が無理なく分解できる量を続けることが大切です。
耕しすぎない
土を何度も深く耕すと、土の中の環境が大きく変化します。
微生物の住みかである団粒構造(だんりゅうこうぞう)が壊れたり、水分環境が不安定になったりすることがあります。
必要以上に耕さず、土の状態を見ながら管理することも微生物を育てる方法のひとつです。
土の声が聞こえるなら、必要以上に耕すたびに悲鳴が聞こえるかもしれません。
様々な植物を育てる
自然界では、多様な植物が一緒に育っている場所が多くあります。
植物によって根の形や出す成分が異なるため、集まる微生物も変わります。
野菜だけでなく、雑草や緑肥(りょくひ)、花なども含めて多様な植物が育つ環境は、微生物にとっても豊かな環境になります。
微生物を育てるとは
微生物を育てるとは、特別な資材を使うことではありません。
土を覆い、有機物を循環させ、多様な生き物が暮らせる環境を整えることです。
土の中の微生物が活動しやすくなると、有機物の分解や養分の循環が進み、野菜が育ちやすい土へと変わっていきます。
畑で行う作業の多くは、実は野菜のためだけでなく、微生物のためでもあるのです。
微生物は、土の中の働き手。
有機物を分解し、養分へつなぎ、土と植物の循環を支えています。
コラム
~森に肥料をまく人はいない~
山や森には肥料をまく人はいません。
それでも木々が育ち続けるのは、落ち葉や枯れ枝などが地面へ戻り、土の生き物や微生物によって分解され、養分が循環しているからです。
畑も、この自然の循環から学ぶことができます。
ただし、森とは違い、畑では野菜を収穫するたびに養分の一部を外へ持ち出します。
そのため、刈った草や作物残渣(さくもつざんさ)など、畑から生まれた有機物をできるだけ循環させることが大切です。
野菜だけを見るのではなく、その下にいる微生物や土の循環にも目を向けると、土づくりの見方が大きく変わります。


