3-1 肥料とは何か

野菜に必要な肥料は、
本当に外から与えなければならないのでしょうか。

野菜を育てる時、「肥料を入れた方が良い」「肥料が足りない」という言葉をよく耳にします。
では、肥料とは何なのでしょうか。

肥料とは、野菜が成長するために必要な栄養を補うものです。人間が食事から栄養を摂るように、野菜も土の中の養分を吸収して成長しています。

植物の生育には16種類の必須元素が必要とされています。
そのうち炭素(C)・酸素(O)・水素(H)は空気や水から得ていますが、残りの13種類は土や肥料の養分から吸収する必要があります。代表的なものが、窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)と呼ばれる三大栄養素です。これらの栄養が不足すると、野菜は十分に成長できません。

自然界では、落ち葉 → 微生物 → 分解 → 養分 → 野菜という循環が繰り返されています。

本来、野菜は自然界の循環の中で生まれた養分によって育っています。
肥料とは、その循環の不足分を補ったり、循環を助けたりするためのものです。


肥料を「土の中でつくる」のか、
「外から持ってくる」のか

野菜は肥料なしでは育ちません。
自然栽培は「無肥料」と言われることがありますが、正確には「無施肥」という考え方が近いと思います。

大切なのは、肥料が必要かどうかではなく、肥料をどこで作るのかという点です。
一般的な栽培では、不足した養分を肥料として外から補います。つまり、外から肥料を持ってくる方法です。

一方で自然界では、落ち葉や雑草、枯草などの有機物を微生物が分解し、土の中で養分がつくられています。つまり、土の中で肥料をつくる方法です。

自然栽培や自然農で言われる「無施肥」とは、外から肥料を与えない代わりに、土の生態系の力を活かして肥料を循環させる考え方です。土の中では、微生物・根・菌根菌(きんこんきん)・土壌生物たちが協力しながら、有機物を養分へ変えています。

肥料をつくっているのは土の生態系であり、野菜はその循環の中で育っています。
もちろん、土の状態や栽培環境によっては、堆肥や有機肥料の力を借りることもあります。特に、痩せた土や畑を始めたばかりの土では、まず有機物や堆肥を活用しながら土を育てる方が、結果として早く自然な循環へ近づける場合もあります。

自然栽培か有機栽培かという二択ではなく、その土地の状態に合わせて土を育て、少しずつ自然の力が働く環境を整えていくことが大切です。目指すのは、肥料を与えることではなく、野菜が必要な栄養を受け取れる環境を整えることです。

外から補う方法もあれば、土の中で育てる方法もある。その中で体験農園 余白は、「土が肥料をつくる力」を育てることを大切にしています。


コラム
~肥料は「ごはん」、土は「畑の台所」~

肥料だけを増やしても、台所が壊れていたり、必要な調理器具がなければ美味しい料理は作れません。
野菜も同じです。

大切なのは肥料の量ではなく、肥料を生み出せる土を育てること。
だから余白では、肥料を与える前に土を育てることを大切にしています。