基本情報
| 分類 | 鱗茎類/ヒガンバナ科・ネギ属 |
|---|---|
| 原産地 | 中央アジア |
| 日照 | 陽性植物(1日6時間以上の直射日光が目安) |
| 土壌酸度 | pH6.0〜6.5 |
| 種の性質 | 嫌光性種子(けんこうせいしゅし) |
| 種まき方法 | セルトレイまき |
| 発芽適温 / 発芽日数 | 15〜20℃ / 7〜10日 |
| 生育適温 / 育苗期間 | 5〜20℃ / 50〜60日 |
| 株間 / 畝幅 | 株間12〜15cm / 畝幅80〜120cm |
| 基本の仕立て・支柱 | 不要 |
| 主に食べる部分 | 鱗茎(りんけい) |
| コンパニオンプランツ | ニンジン、レタスなど |
栽培カレンダー

| セルトレイ | 9月中旬〜下旬 |
|---|---|
| 定植 | 11月上旬〜下旬 |
| 収穫 | 5月中旬〜6月中旬 |
おすすめ品種
特徴
土(養分):浅い根を広げて育つ
根の多くは比較的浅い場所に広がります。乾燥や過湿の影響を受けやすいため、根が伸びやすい土の状態を保つことが大切です。
光:日長を感じて玉が太る
春になって日が長くなると、品種ごとに必要な日長を感じて鱗茎が肥大し始めます。
水:乾燥と過湿の両方に注意する
根が浅いため乾燥の影響を受けやすい一方、水が停滞すると根傷みや病気につながりやすくなります。
風:蒸れない環境をつくる
葉が密集した状態で湿度が高くなると病気が出やすくなります。風が抜ける環境を保つことが大切です。
温度:涼しい時期に葉と根を育てる
秋から冬に葉と根を育て、春の気温上昇と日長の変化に合わせて鱗茎が肥大していきます。
育て方
種まき・育苗
玉ねぎは秋に種をまき、小さな苗の状態で冬を迎えます。大きすぎる苗は春にとう立ちしやすくなるため、適度な大きさに育てることが大切です。
手順
- セルトレイに種まき用の土を入れ1穴に1〜2粒ずつ種をまく。
- 種の厚さの2〜3倍を目安に土をかぶせる。
- 表面を軽く鎮圧する。
- 土全体が湿るようにやさしく水を与える。
- 複数発芽した穴は、生育のよい苗を1本残して間引く。
- 本葉3〜4枚、草丈20〜25cm程度を目安に育てる。
※とう立ち:花を咲かせるための花茎(かけい)が伸びることです。
定植
本葉3〜4枚ほどに育った苗を畑へ植えます。深植えすると生育や鱗茎の肥大を妨げやすいため、浅植えを基本にします。
手順
- 株間12〜15cmになるよう植え穴をつくる。
- セルトレイから根鉢(ねばち)を崩しすぎないよう苗を抜く。
- 根元を深く埋めすぎないよう浅く植える。
- 株元の土を軽く鎮圧する。
- 定植後に株元へ水を与える。
- 必要に応じて、株元を覆わないようもみ殻やワラ、草を薄く敷く。
越冬・春の管理
12月〜4月ごろは、冬の寒さを越しながら根を保ち、春の生育再開に合わせて株まわりを整えます。霜柱による浮きや草の混み合いを防ぎ、春に花茎が伸びた株は早めに収穫します。
手順
- 12月〜2月ごろ、霜柱などで浮き上がった苗の株元を軽く押さえる。
- 根が露出している場合は、根が隠れる程度に土を寄せる。
- 3月〜4月ごろ、株元に生えた大きな草を地際から刈る。
- 厚く重なった草マルチを薄く整える。
- 花茎が伸びた株は、食用として早めに収穫する。
収穫・乾燥
春の終わりごろになると、成熟した株は葉が自然に倒れ始めます。
畑全体の6〜8割ほどの株で葉が倒れたころが収穫の目安です。収穫後にしっかり乾かすことで、玉が締まり保存しやすくなります。収穫は晴れが続く日を選びます。
手順
- 株元を持って引き抜く。
- 土を軽く落とし、畑の上で1〜2日乾かす。
- 数株ずつ葉を束ねる。
- 雨が当たらず風通しのよい場所につるして乾燥させる。
生育診断
玉ねぎは、葉の太さ・色・立ち方と、株元の太り方を見ると草勢(そうせい)を判断しやすくなります。冬までの苗の大きさと、春の葉の勢いを分けて観察します。
草勢が弱い
原因: 根の傷み、過湿、乾燥、土の状態、生育初期の養分不足などが考えられます。
対策: まず土の乾湿と根元の状態を確認し、水が停滞していないかを見ます。土が固い場合は株元を傷めない範囲で表面を整えます。
原因: 種まきや定植の遅れ、育苗中の生育不足、根付きの悪さなどが考えられます。
対策: 根が浮いていないかを確認し、株元を軽く押さえます。春まで葉を傷めず育て、春以降の生育期間を活かします。
原因: 葉数不足、日照不足、品種と栽培時期のずれ、根の生育不良などが考えられます。
対策: まず日当たりと葉の生育状態を確認します。株元を土や厚い草で覆っている場合は整え、葉を健全に保ちます。
草勢が強い
原因: 種まきが早すぎた、苗を大きく育てすぎた可能性があります。
対策: 肥料を追加せず、そのまま冬越しさせます。翌年は播種(はしゅ)時期と苗の大きさを見直します。
原因: 土に利用可能な窒素が多い、肥料分が多い、春以降も栄養生長が続いている可能性があります。
対策: 追加の施肥を控え、過湿にならないよう管理します。
原因: 品種特性、生育の遅れ、窒素分の多さなどが考えられます。
対策: 品種の収穫時期を確認し、葉の倒伏(とうふく)だけでなく鱗茎の締まりも見ながら収穫時期を判断します。
よくある失敗
① とう立ちする
- 種を早くまきすぎた
- 苗を大きく育てすぎた(大苗のまま冬の低温に当たった)
京都平野部では適期に種をまき、定植時に苗を大きくしすぎないことが基本です。花茎が伸びた株は玉の中心が硬くなりやすいため、保存用にせず早めに食べます。
② 玉が分かれる
- 苗を大きく育てすぎた
- 窒素分が多すぎた
- 品種に対して播種時期が早すぎた
適期に種をまき、苗を必要以上に大きくしないよう育てます。大苗を植えるほど分球(ぶんきゅう)やとう立ちのリスクが高まりやすくなります。
③ 玉が大きくならない
- 苗が小さすぎた
- 葉の生育が不足した
- 日照不足
- 根傷みや過湿
まず日照、葉の状態、根元の過湿を確認します。玉を直接太らせようとするのではなく、春まで健康な葉と根を育てることを優先します。
④ 保存中に腐る
- 収穫時の乾燥不足
- 雨天時の収穫
- 傷んだ玉を一緒に保存した
- 風通しが悪い
晴天時に収穫し、傷や腐敗のある玉は分け、雨が当たらず風通しのよい場所で保存します。
主な病気
① べと病(べとびょう)
葉に淡い黄色の斑点が現れ、湿度が高いと灰白色〜紫灰色のかびが見られることがあります。進行すると葉が枯れ、生育が弱ります。
水はけと風通しをよくし、葉が長時間ぬれた状態を避けます。発病した葉や株は畑に残さず取り除きます。
② 軟腐病(なんぷびょう)
鱗茎が水浸状に軟らかく腐り、強い臭いを伴うことがあります。
過湿を避け、収穫時に玉を傷つけないようにします。発病株は早めに取り除きます。
③ 乾腐病(かんぷびょう)
根盤部(こんばんぶ)付近から褐色に腐敗し、根が傷み、葉が黄化して生育が衰えます。
水はけをよくし、傷のある苗を植えないようにします。発病した株や残渣(ざんさ)は畑から取り除きます。
④ 灰色腐敗病(はいいろふはいびょう)
保存中を中心に、首部(くびぶ)から内部へ腐敗が進み、灰色のかびが生じることがあります。
適期に収穫し、収穫後は首部まで十分に乾燥させます。傷んだ玉は保存前に取り除きます。
主な害虫
① ネギアザミウマ
葉の表面を吸汁し、白色〜銀白色の細かな斑点が広がります。多発すると葉が白っぽくなり、生育が弱ります。
株周りの雑草を増やしすぎず、風通しを保ちます。被害が少ないうちに葉を観察し、多発した葉や株は早めに対処します。
② タマネギバエ
幼虫が葉の内側から表皮を残して食べるため、不規則な白い斑点や透明な斑点、穴ができます。
傷んだ鱗茎や収穫残渣を畑に残さず、発生した株は早めに取り除きます。
③ ネギハモグリバエ
幼虫が葉の内部を食べ進み、白い筋状の食害痕が現れます。
被害葉を早めに取り除き、畑に残さないようにします。苗の段階から葉の食害痕を観察します。
採種の手順
種球の採り方
玉ねぎは通常、種をまいた翌年に玉を収穫しますが、採種する場合は良い特徴を持つ玉を母球(ぼきゅう)として残し、再び植えて花を咲かせます。
- 病気がなく、品種本来の形や大きさを持つ玉を選ぶ。
- 収穫後に十分乾燥させて保存し、母球を畑へ植え直す。
- 花茎を伸ばして開花させる。
- できるだけ複数の株から種を採る。
- 花球(はなだま)が枯れ始め、中の種が黒く成熟したら花球ごと収穫する。
- 雨の当たらない場所で十分乾燥させる。
- 花球をもみほぐして種を取り出し、ごみを除く。
種球の保存方法
- 採った種は十分に乾燥させる
- 紙袋や密閉できる容器に入れる
- 品種名と収穫年を記録する。
- 湿度と温度の変化が少ない冷暗所で保存。
発芽率を保つポイント
- 十分に成熟し黒くなった種を採る。
- 採種後は湿気を残さず乾燥させる。
- 高温多湿を避ける。
- 品種名と採種年を必ず記録する。
保存方法
① 常温保存
収穫後はしっかり乾燥させ、風通しのよい場所で保存します。保存期間は、一般的な黄玉ねぎで1〜2か月程度をひとつの目安とする。
- 土を軽く落とし、葉と首部まで十分に乾燥させる。
- 数株ずつ束ね、雨が当たらず風通しのよい軒下などにつるす。
- ネットやかごを使う場合は、玉同士が蒸れないよう風が通る状態にする。
※品種・収穫時期・乾燥状態・保存場所の温度や湿度によって前後し、貯蔵性の高い中晩生品種では、条件がよければさらに長く保存できるものもあります。
② 冷蔵保存
切ったものは乾燥を防ぎ、冷蔵庫で保存します。5日程度を保存期間の目安とし、状態を見ながら早めに使い切る。
- 切り口をラップなどで覆う。
- 保存袋や容器に入れて冷蔵庫で保存する。
※保存期間は切り方や鮮度、冷蔵庫内の温度などによって前後します。丸ごとの場合は湿気がこもりやすいため、長期保存では常温の風通しのよい場所がおすすめです。
③ 冷凍保存
使いやすい大きさに切ってから冷凍し、保存期間は3〜4週間程度が目安。
- 皮をむき、薄切りやみじん切りにする。
- 使いやすい量に分けて保存袋へ入れる。
※保存期間は切り方や冷凍状態、冷凍庫内の温度変化などによって前後します。解凍すると食感がやわらかくなるため、炒め物、スープ、煮込み料理など加熱料理に向きます。味噌汁に入れると何となく味が変わる気がして個人的にはあまり好きではないです。
からだの声
旬の野菜について、昔ながらの食養生や薬膳の知恵、現代栄養学で知られている成分の特徴を紹介します。
毎日の食卓で、その野菜をどう取り入れるかをわかりやすくまとめます。
① 薬膳では「温性」の食材
薬膳(やくぜん)では、玉ねぎは温性(おんせい)の食材に分類され、体を温める食材と考えられてきました。
② ケルセチンを含む野菜
玉ねぎにはポリフェノールの一種であるケルセチンが含まれ、抗酸化作用をもつ成分として研究されています。
③ 実は、約9割が水分
生の玉ねぎは、可食部100gのうち水分が90.1gで、約9割を水分が占めています。甘みのある野菜ですが、実は水分の多い野菜です。
豆知識
① 食べているのは「根」ではない
玉ねぎの丸い部分は根ではなく、葉の基部が厚く重なってできた鱗茎です。本当の根は、玉の下にある根盤部から伸びています。
② 日本で本格的に広がったのは明治時代
玉ねぎは日本へ比較的新しく広まった野菜です。明治時代以降に北海道や大阪などで栽培が広がり、日本の食卓へ定着していきました。
③ 泉州は日本の玉ねぎ産地の草分けのひとつ
大阪の泉州地域は、日本で玉ねぎ栽培が広がった代表的な地域のひとつです。「泉州黄」など、現在まで受け継がれている品種もあります。











