ニンニクの育て方

6-1_ニンニク
目次

基本情報

分類鱗茎類/ヒガンバナ科・ネギ属
原産地中央アジア周辺
日照陽性植物(1日6時間以上の直射日光が目安)
土壌酸度pH6.0〜6.5
種の性質種球(しゅきゅう)の鱗片(りんぺん)で増える栄養繁殖
種まき方法種球を1片ずつ分けて直接植え付ける
発芽適温 / 発芽日数15〜20℃ / 7〜14日程度(種球からの萌芽)
生育適温 / 育苗期間15〜20℃ / ―
株間 / 畝幅 株間15cm / 畝幅100cm程度(条間20〜25cm)
基本の仕立て・支柱不要
主に食べる部分鱗茎(りんけい)、花茎(ニンニクの芽)
コンパニオンプランツイチゴが相性がよいとされていますが、効果は栽培環境によって異なります。

栽培カレンダー

6-1_ニンニク栽培カレンダー
定植10月上旬〜10月下旬
収穫5月中旬〜6月中旬

※地域・品種・気候・土壌などの栽培環境によって、時期や数値は前後します。

おすすめ品種

ニンニクは種子ではなく鱗片を植えて増やす栄養繁殖が基本です。
固定種・在来種などの由来も確認しながら、京都平野部のような中間地では、地域に合った系統や品種を選ぶことが大切です。

京都平野部では暖地系を基本としながら、地域への適応性や種球の入手しやすさも考えて選びます。

スクロールできます
品種名種の種類特徴・おすすめ理由
平戸ニンニク地域品種長崎県で栽培されてきた暖地系の大球品種です。種球も流通しており、京都平野部でも選びやすい品種です。
福地ホワイト六片地域品種青森県で育成・選抜されてきた大玉の寒地系品種です。京都平野部では暖地系より条件を選びますが、種球を入手しやすく、家庭菜園でも栽培できます。

※福地ホワイト六片などの寒地系は、暖地系より低温を必要とします。京都平野部でも栽培できますが、植え付け時期やその年の気温によって球の肥大に差が出ることがあります。

特徴

土(養分):排水のよい土を好む

ニンニクは秋から春まで長期間畑で育ちます。特に水がたまりやすい土では根や鱗茎が傷みやすいため、養分量だけでなく排水性が重要です。

光:日当たりで春の肥大が変わる

葉でつくられた糖を鱗茎へ蓄えて大きくなるため、日当たりのよい場所ほど充実した球を育てやすくなります。

水:過湿を嫌う

比較的乾燥には耐えるが、春の肥大期に強く乾燥すると球が小さくなることがあります。一方、常に湿った土では病気や根傷みが増えやすくなります。

風:春の蒸れに注意する

冬の間は株が小さいものの、春になると葉が一気に伸びます。雨の多い時期に風通しが悪いと、葉の病気が広がりやすくなります。

温度:涼しい季節に育ち、春に球が太る

秋に根と葉を育てて越冬し、低温を経験したあと、春の日長と気温の上昇に反応して鱗茎が肥大します。高温になると生育は止まり、収穫時期を迎えます。

育て方

10月上旬~10月下旬

種球の準備・定植

ニンニクは、1個の球を鱗片ごとに分けて植え付けます。大きく傷みのない鱗片を使い、冬までにしっかり根を張らせます。

手順

  1. 病斑、腐れ、カビ、傷のない種球を選ぶ。
  2. 植え付ける直前に、種球を1片ずつ鱗片へ分ける。
  3. 株間15cm、条間20〜25cmを目安に植え穴をあける。
  4. 植え穴の深さを5〜6cm程度にする。
  5. 鱗片の尖った側を上へ向けて置く。
  6. 土を戻して軽く鎮圧する。
  7. 植え付け後に水を与える。

※鱗片(りんぺん):ニンニクの球を分けた一片のことです。

小さな鱗片より、大きく充実した鱗片を植えるほうが大きな球へ育ちやすくなります。薄皮は無理に取り除く必要はありません。

STEP

芽かき

一つの鱗片から2本以上の芽が伸びることがあります。そのまま育てると球が分かれて小さくなりやすいため、1本に整理します。

手順

  1. 草丈10〜15cm程度で、2本以上の芽が出ている株があれば、勢いのよい芽を1本残す。
  2. 残す芽の株元を片手で押さえる。
  3. 弱い芽を株元からゆっくり引き抜く。

強く引くと残す芽まで浮くため、必ず株元を押さえて芽かきします。

STEP

花茎摘み

春になると、品種によって中央から花茎(かけい)が伸びてきます。花茎をそのまま育てると球の肥大へ使われる力が分散するため、適期に摘み取ります。

手順

  1. 花茎が伸びて、葉の先と同じくらいの高さになるころに摘み取る。
  2. 株元を片手で押さえる。
  3. 花茎をできるだけ下の位置から折り取るか、引き抜く。
  4. やわらかい花茎は「ニンニクの芽」として収穫する。

※花茎(かけい):花や花序をつけるために伸びる茎です。

花茎は早く摘みすぎず、十分に伸びてから取り除きます。

収穫

下葉から黄化し、株全体の葉の3〜5割程度が黄色くなったころが収穫の目安です。遅すぎると球が割れ、保存性が落ちやすくなります。

手順

  1. 葉の3〜5割程度が黄色くなった株を選ぶ。
  2. 晴天が続き、土が乾いている日に株元を持って引き抜く。
  3. 抜けにくい場合は、株から少し離れた場所へスコップやフォークを入れて持ち上げる。
  4. 球についた土を軽く落とす。
  5. 傷んだ球と健康な球を分ける。
  6. 根を切り、葉と茎は付けたまま風通しのよい日陰で2〜3日乾かす。
  7. 茎を30cm程度残して切る。

早採りでは球が小さく、遅採りでは鱗片が開きやすくなります。葉の黄化と球の締まりを合わせて判断します。

生育診断

ニンニクは、葉色、葉の太さ、株元の太さ、新しい葉の伸び方から草勢を判断します。春の黄化をすぐ肥料不足と決めつけず、まず土の水分、根、病害を確認します。

草勢が弱い

① 葉が細く、色が薄い

原因:小さな種球、根傷み、過湿、日照不足、養分不足などが考えられます。

対策:最初に排水と土の湿り方を確認します。根元が傷んでいなければ日照条件を確認し、新しい葉の伸びを観察します。

② 春になっても葉が増えない

原因:植え付けの遅れ、根の発達不足、冬までの生育不足、土の締まりなどが考えられます。

対策:株元の土を強く踏み固めず、排水と通気を確保します。無理に肥料を追加せず、新葉が動き始めるか確認します。

③ 下葉だけでなく新しい葉まで黄化する

原因:過湿、根傷み、病気、強い乾燥、養分不足などが考えられます。

対策:土の水分と根元を最初に確認します。葉に病斑がある場合は病気の症状と照合し、健康な株まで広がらないよう管理します。

草勢が強い

① 葉が大きく、濃い緑色になる

原因:窒素分や水分が多く、葉の生長へ偏っている可能性があります。

対策:米ぬかなどの肥料分の追加を控え、土を過湿にしないようにします。

② 葉がやわらかく、倒れやすい

原因:窒素過多、水分過多、日照不足などの可能性があります。

対策:排水と日当たりを確認し、新しい養分を加えずに株を締めて育てます。

③ 春になっても葉ばかり伸び続ける

原因:窒素過多、品種と気候が合っていない、低温不足などが影響している可能性があります。

対策:追加の施肥を控えます。毎年同じ傾向が出る場合は、次作から暖地系の品種へ変更します。

よくある失敗

① 植えた鱗片が腐る

主な原因
  • 水はけの悪い場所へ植えた
  • 残暑が強い時期に早植えした
  • 傷やカビのある種球を使った
  • 深く植えすぎた
対策

まず排水を確認し、水がたまる場所では高畝にします。健康な種球を使い、京都では暑さが落ち着いた適期に植え付けます。

② 球が大きくならない

主な原因
  • 小さな鱗片を植えた
  • 植え付けが遅れた
  • 日照が不足した
  • 春に強く乾燥した
  • 寒地系品種を育てた
対策

大きな鱗片を使い、適期に植えます。春は日当たりと土壌水分を安定させ、京都平野部では暖地系を中心に選びます。

③ 小さな球がいくつもできる

主な原因
  • 芽かきをしなかった
  • 一つの鱗片から複数の芽を育てた
  • 小さな種球を使った
  • 草勢が弱いまま春を迎えた
対策

複数の芽が出た株は、草丈10〜15cm程度で勢いのよい1本だけを残します。

④ 収穫後に腐りやすい

主な原因
  • 雨の直後に収穫した
  • 未熟な状態で収穫した
  • 傷のある球を一緒に保存した
  • 乾燥が不十分だった
  • 高温多湿の場所へ保存した
対策

晴天が続いた日に収穫し、傷んだ球を分けます。収穫後は直射日光を避け、風通しのよい場所で十分に乾燥させます。

主な病気

① さび病(さびびょう)

症状

葉に黄色から赤褐色の小さな隆起した斑点が現れます。多発すると葉が黄化し、光合成が弱くなります。

予防・対策

株を混み合わせず、窒素分を過剰にしません。症状の強い葉や栽培後の残渣を畑へ残さないようにします。

② 春腐病(はるぐされびょう)

症状

春に葉や葉鞘へ水が染みたような病斑が現れ、進行すると株元が腐り、生育が止まります。

予防・対策

水がたまらない畝をつくり、春の長雨時に過湿にならないよう排水を確保します。窒素分を過剰にしないことも大切です。

③ 葉枯病(はがれびょう)

症状

葉に白色から褐色の斑点ができ、広がると葉先から枯れ上がります。

予防・対策

葉を長時間濡らさず、風通しを確保します。発病した葉や栽培後の残渣を畑に残さないようにします。

④ 黒腐菌核病(くろぐされきんかくびょう)

症状

黄化して生育が止まり、根や球の底部が腐ります。病変部に小さな黒い菌核が見られることがあります。

予防・対策

発病株は根と周囲の土ごと取り除きます。ネギ属作物の連作を避け、発生した畑では種球や土を別の場所へ持ち出さないようにします。

⑤ ウイルス病(モザイク病)

症状

葉に黄緑色と緑色が入り混じるモザイク状の模様や黄色い条斑、黄化、葉のねじれなどが現れ、生育が弱くなることがあります。

予防・対策

ウイルスに感染した株は元には戻らないため、症状が強い株は種球として残しません。健康な種球を使い、感染が疑われる株は早めに取り除きます。ニンニクは鱗片で増やすため、感染した株を種球にすると次作へウイルスを持ち越す可能性があります。アブラムシ類がウイルスを媒介するため、生育期間中はアブラムシの発生に注意し、発生源になる雑草や残渣を減らします。

主な害虫

① ネギアザミウマ

症状

葉を吸汁し、白っぽいかすり状の傷が増えます。多発すると葉全体が白っぽくなり、生育が弱ります。

予防・対策

葉の付け根や新しい葉を確認し、発生初期に取り除きます。周囲のネギ属作物や残渣も発生源にならないよう管理します。

② ネギコガ

症状

幼虫が葉の内側から表皮を残して食べるため、不規則な白い斑点や透明な斑点、穴ができます。

予防・対策

食害のある葉を早めに確認し、幼虫を取り除きます。栽培後の葉や残渣を畑へ残さないようにします。

③ ネギハモグリバエ

症状

幼虫が葉の内部へ入り込み、葉肉を食べながら白い筋状の食害痕をつくります。被害が多いと葉全体が白っぽくなり、生育が弱ります。

予防・対策

葉に白い筋状の食害痕がないか確認し、被害の強い葉は早めに取り除きます。栽培後の葉やネギ属作物の残渣を畑へ残さず、発生源を減らします。

④ タネバエ

症状

幼虫が植え付けた鱗片や地下部を食害し、発芽不良や腐敗を起こします。

予防・対策

傷んだ種球を使わず、未熟な有機物を植え付け直前に土へ大量に混ぜません。被害株は早めに取り除きます。

⑤ ネダニ

症状

土の中で根や鱗茎に寄生し、根の生育を弱らせたり、球の基部を傷めたりします。被害が進むと葉が黄化し、株の生育が止まることがあります。

予防・対策

健康な種球を使い、水はけをよくします。傷んだ球や腐敗した球を畑へ残さず、ネギ属作物の連作を避けます。収穫後の残渣も取り除き、次作へ持ち越さないようにします。貯蔵中にも症状が進むことがあるため、保存中に傷んだ球は早めに取り除きます。

採種の手順

種球の採り方

ニンニクは一般的な野菜のように種子を採るのではなく、収穫した健康な鱗茎を翌年の種球として残します。

  1. 病気がなく、葉や球の生育が品種本来の状態に近い株を選ぶ。
  2. 適期まで畑で十分に成熟させる。
  3. 晴天が続いた日に収穫する。
  4. 傷、腐れ、カビのある球を取り除く。
  5. 大きく締まりのよい健康な球を種球用として分ける。
  6. 風通しのよい日陰で十分に乾燥させる。
  7. 植え付け直前に鱗片へ分け、大きく健康な鱗片を使う。

ニンニクは鱗片による栄養繁殖のため、花粉による交雑よりも、病気やウイルスを種球と一緒に次作へ持ち越さないことが重要です。

種球の保存方法

  1. 種球を十分に乾燥させる。
  2. 品種名と収穫年を記録する。
  3. ネットなど通気性のある袋へ入れる。
  4. 雨、直射日光、高温多湿を避ける。
  5. 植え付けまで風通しのよい涼しい場所で保存する。

発芽率を保つポイント

  • 病気や傷のない健康な球を残す
  • 小さすぎる鱗片を種球にしない
  • 収穫後は十分に乾燥させる
  • 高温多湿と結露を避ける
  • 植え付ける直前まで球のまま保存する

ニンニクは鱗片で増やすため、親株とほぼ同じ遺伝的性質を受け継ぎます。ただし、病害やウイルスも持ち越すことがあるため、種球の健康状態が重要です。

登録品種を家庭菜園で自分が楽しむ範囲で増殖する場合と、増やした種球を他人へ譲渡・販売する場合では、種苗法上の扱いが異なります。購入した種球の「登録品種」「PVP」などの表示を確認します。

保存方法

① 常温保存

品種や収穫時の状態によって保存性が異なるため、発芽、軟化、カビが出たものから早めに使います。保存期間としては、2〜3か月程度が目安。

  1. 5〜10株程度ずつ束ねる。
  2. 雨と直射日光が当たらない風通しのよい日陰へ吊るして十分に乾燥させる。
  3. 十分に乾燥したら、ネットなどへ入れるか、そのまま風通しのよい涼しい場所で保存する。

② 冷凍保存

凍ったまますりおろしたり、炒め物や煮込み料理へ使えます。皮付き・丸ごとの場合は、3〜6か月程度、皮をむいた鱗片は、1〜3か月程度、薄切り・みじん切り・すりおろしなどは1か月程度を目安。

  1. 鱗片を1片ずつ分けて皮をむく。
  2. 水分がある場合はしっかり拭き取る。
  3. 丸ごと、薄切り、みじん切りなど使いやすい形にする。
  4. 冷凍用保存袋へ入れて空気を抜く。
  5. 冷凍庫で保存する。

からだの声

旬の野菜について、昔ながらの食養生や薬膳の知恵、現代栄養学で知られている成分の特徴を紹介します。
毎日の食卓で、その野菜をどう取り入れるかをわかりやすくまとめます。

① 切ると生まれる、あの香り

ニンニクにはアリインという成分が含まれています。刻んだりつぶしたりして組織が壊れると、酵素(アリナーゼ)が働いてアリシンなどが生まれ、ニンニクらしい香りになります。

② 昔から「力をつける食べもの」

食養生や薬膳では、ニンニクは体を温め、元気を補う食材として利用されてきました。これは伝統的な食文化の考え方で、現代医学の治療効果を意味するものではありません。

③ ビタミンB1と出会うと別の形になる

ニンニクのアリシンは、ビタミンB1(チアミン)と反応するとアリチアミンという化合物をつくります。これは1950年代に京都大学の研究者らが報告したもので、ニンニクの成分とビタミンB1の組み合わせから生まれる、少し意外な関係です。

豆知識

① 一片一片が「鱗片」

普段「ニンニク一片」と呼んでいる部分は、植物学では鱗片と呼ばれます。たくさんの鱗片が集まって、一つの鱗茎をつくっています。

② 「ニンニクの芽」は本当の芽ではない

スーパーなどで「ニンニクの芽」と呼ばれている部分は、主に花をつけるために伸びた花茎です。球を大きく育てるために摘み取った花茎を野菜として利用できます。

③ 種をまかずに増やせる

一般的なニンニク栽培では種子を使わず、収穫した鱗片を植えて増やします。そのため、同じ系統を何年も受け継いで育てることができます。

④ 冬の寒さも生育の一部

ニンニクは秋に植え、冬を越して春に球が太ります。品種によって必要な低温量が異なるため、寒地系と暖地系では適する地域が変わります。

⑤ 日本でも古くから利用されてきた

ニンニクは古い時代に中国などを経て日本へ伝わったとされ、食用だけでなく、昔は薬草としても利用されてきました。


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