ここまで、野菜が育つ条件や身体の仕組み、生長の仕組みについて見てきました。
健康な野菜を育てるために大切なのは、どれか一つの条件だけを良くすることではありません。
光・水・空気・温度・土(養分)。
それぞれがつながり、バランスを取りながら野菜は育っています。
光

葉は太陽の光を受けて光合成を行い、野菜の身体をつくる材料となる糖をつくります。
光が不足すると、光合成でつくられる糖が少なくなり、生長が遅くなったり、徒長したりしやすくなります。
反対に、強すぎる光やそれに伴う高温によって、葉焼けなどが起こることもあります。
日当たりだけでなく、葉が重なりすぎていないかも確認します。
水(排水性・保水性)

根から吸収された水は、養分を運び、光合成や細胞の働きにも使われます。
水が不足すると、葉がしおれ、生長が鈍り、水とともに吸収する養分も取り込みにくくなります。
反対に、水が多すぎると土の中の空気が減り、根が酸欠になって根腐れなどにつながることがあります。
土の表面だけでなく、土の中の乾き具合や水のたまり方を見ることが大切です。
空気(通気性)

野菜に必要な空気には、葉の周りの風通しと土の中の通気性があります。
葉が混み合って風通しが悪くなると、湿気がこもり、病気が発生しやすくなります。
野菜に応じて摘葉や誘引を行い、風の通り道をつくります。
土の中では、根や微生物が呼吸するための酸素が必要です。
過湿や土の締まりによって空気が不足すると、根の働きや微生物の活動が弱くなります。
反対に、風が強すぎると葉から水分が失われやすくなり、乾燥したり、茎や葉が傷んだりすることがあります。
温度

野菜には、それぞれ生長しやすい温度があります。
温度が低すぎると、発芽や根の働きが鈍り、養分を吸収しにくくなって、生長も遅くなります。
反対に、高すぎると呼吸による糖の消費が増え、しおれや葉焼け、花落ち、受粉不良などが見られることがあります。その野菜に合った季節に育て、高温や低温にさらされていないかを見ます。
土(養分)

野菜は、根から水と養分を吸収します。
しかし、健康な土とは、単に養分が多い土ではありません。
根が伸びやすく、微生物が活動し、水・空気・養分が循環する土が野菜の生長を支えます。
養分が不足すると、葉の色が薄くなったり、生長が遅くなったり、花や実が育ちにくくなったりすることがあります。
ただし、水不足・低温・根の傷み・土のpH(酸度)などによって、土に養分があっても吸収できていない場合があります。
反対に、養分が多すぎても、根が傷んだり、葉や茎ばかりが茂ったり、養分同士の吸収バランスが崩れたりすることがあります。
野菜からのサインを見る
野菜に不調が見えたとき、すぐに「肥料が足りない」「水が足りない」と決めつけないことが大切です。
例えば葉が黄色くなっていても、養分不足とは限りません。
光、水、温度、根の状態など、さまざまな原因が考えられます。「光はどうか・水はどうか・風は通っているか・温度はどうか・根や土はどうか」など、一つずつ野菜と畑を観察していくことで、原因を見つけやすくなります。
健康な野菜を育てる基本は、光・水・空気・温度・土(養分)の5つの条件を整えることです。
どれか一つだけを良くすれば、野菜が健康になるわけではありません。
葉は光合成によって糖をつくり、根は水や養分を吸収します。
そして土の中では、微生物などの生きものが有機物を分解し、養分の循環を支えています。
野菜・土・微生物・環境を一つのつながりとして観察し、足りないものと多すぎるものの両方を見る。
そして、野菜が本来持っている力を発揮できる環境を整える。それが、健康な野菜を育てる基本です。
野菜は、自ら育つ力を持っている。
光・水・空気・温度・養分を使いながら、根・葉・茎・花・実を育てていきます。


